M先生のこと

住宅雑誌を編集していた時にお世話になった、元北海道大学教授のM先生がご逝去されました。

集成材.jpg
先生は木材の研究をされておられ、この画像の天井で使われている集成材のことなどを書いていただいていました。


日曜日のお通夜で、10年前に他界した父と同じ齢だったことがわかりました。
先生と初めてお会いした時はまだ父も生きていて、父も樹木の研究をしていた(父は育てる方の研究でしたが)ので、間接的に先生も父もお互い名前などは知っていたようでした。
そんなこともあって、先生とお会いするのが楽しみで、年に数回は研究室に遊びに行き、北大を退官されて私立の大学へ移られてからも同じように原稿をお願いしたり、木材のことを教えていただいたりと、研究室へお邪魔していました。

木造の構造について、原稿を書いてくださる方を探していた時、ある住宅コンサルタントの方が「建築科でも教えていない木造建築の構造計算を唯一教えておられる先生だから」と紹介してくださいました。
初めて原稿依頼に行く時はかなり緊張するものですが(断られるかもしれませんし)、先生はとても紳士で、穏やかな方で、父とご縁があったこともよかったのか、快く引き受けてくださいました。
私の雑誌、原稿料が驚くほど安かったのに、本当に快く引き受けてくださったのです。

それ以来のお付き合いで、先生との何気ないおしゃべりから、木材についてのいろいろな知識を吸収させていただきました。
その当時大学生だったご長男は、現在、建築家になっておられ、木材の性質を知り、そのよさを生かした住宅の設計にファンも多いようです。

ほんの数週間前に地下鉄でばったりお会いし、「今、何してるの?」などと声をかけていただいたばかりでした。近いうちにまたお会いしてお話したいな、なんて思っていたところでした。
今年になってから血圧が高くなるなど、体調をくずされておられたようですが、亡くなられるまでいつもの生活をされていたとのこと。
愛犬と散歩に出られて倒れられ、そのまま帰らぬ人となられました。
享年81歳。亡くなられるまで現役でさまざまな活動をされておられ、先生のご逝去を惜しむたくさんの方がお通夜に参列されていました。

同年代の仲間、若い友人たちとのお付き合いはもちろん楽しいのですが、私にとっては若い頃、仕事を通していろいろなことを教えてくださった人生の大先輩たちとのお付き合いは、私にとってかけがえのない宝物だと今、つくづく思うのです。
そんな緒先輩方が一人、二人とこの世を去っていかれます。
生意気で、怖いもの知らずだった若い頃の私を一人前の人間として認めてくださり、さまざまなことを教えてくださった先輩方たちのように、私にも年下の友人たちに何かを教えることができるのでしょうか。
やっぱり、まだまだ無理なようです。
せめて若い人たちと一緒に成長してゆけたら、と先生とお別れしながら思いました。

先生、本当にありがとうございました。
仕口.gifこれが仕口。こうやって柱と柱をしっかりつなぎとめます。現在はこれを金物によってもっと強力に留めて、頑丈な建物にしています。

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